Staff notes

A little new idea that I noticed while snuggling up to the inconvenience of clothes. Then, the staff of carewill will spell out specific surveys and details of their efforts every day.

#clothing-inconvenience

ケア衣料carewill パートナーセッション ゲスト 株式会社航和/株式会社Keeper 代表取締役 佐々木航様

carewillでは、メンバーが集まり全体方針の共有や、チーム間連携をはかるための全体MTGを週次で開催しています。2021年5月からはcarewillの活動をご支援いただいている法人の代表などどをゲストにお招きしし、「パートナーセッション」という名称で実施しています。今回のゲストは、carewillの法人パートナー、株式会社航和 代表取締役 佐々木航様です。メンバーからの自己紹介から始まり佐々木さんのセッションへ。この記事は、パートナーセッションの書き起こし記事です。 佐々木様には以前インタビュー取材もさせていただきました。もしまだそちらの記事をお読みいただいていない方は下記からお読みください。 TOKYO STARTUP GATEWAY2019の選考過程で出会い、carewillの法人パートナー第一号に。株式会社航和 代表取締役 佐々木さんのケア衣料への想いとは シームレスな共生社会の実現に向け、法人パートナーとしてcarewillと共創する未来 株式会社航和 代表取締役 佐々木航さんに伺いました 株式会社航和 代表取締役 佐々木航氏 岩手医科大学大学院修了後、株式会社航和創業、社会福祉法人結和会設立、都内にて介護スタートアップ株式会社keeperを設立。岩手県雫石町、盛岡市にて介護施設や介護サービス事業、障がい者の支援事業所を含む15事業所経営。さらに生涯活躍のまち構想(日本版CCRC)を実現するため雫石町、小岩井農牧株式会社、金融機関とともに町づくり会社を創業し経営 株式会社 航和 株式会社 航和のホームページです。岩手で整骨院、接骨院、通所介護、居宅事業などを行っております。www.kouwa.iwate.jp 株式会社Keeper 「介護クラウド」なら株式会社Keeper 介護とテクノロジーでスマートな社会の実現を目指すイノベーションカンパニー。 www.keeper-inc.com ーー佐々木様からご自身や事業についてご紹介いただけますでしょうか。 佐々木さん:岩手県雫石町を拠点に事業を行っています。笈沼さんとの出会いはTOKYO STARTUP GATEWAY(TSG2019)で、偶然会場での席が近く、ワークショップ中に声をかけたのがきっかけです。私が介護系のアプリを都内で開発していて、笈沼さんがケア衣料に取り組むということで、「ヘルスケア同士ですね」と盛り上がりました。その後、色々話をしていくうちに仲良くなって、TSGが終わったあともお互いに連絡を取って意見交換をしてきました。本業は介護施設の運営です。デイサービスや訪問介護事業所、障がい者福祉施設、全部で15事業所ほど運営しています。 今年の春に笈沼さんから法人パートナーシップを結びたいとお話がありました。僕らが取り組んでいない「衣料×ケア」の部分でしたのでとても興味深く、共感したこと、また、笈沼さんの行動力のすごさ―TSG2019の決勝大会前には「話を聞きたい」ということで岩手まできましたからね、まさかくるとは思いませんでしたよ(笑)すごい行動力だな、すごい熱意だな、無下にはできないな―ということで、当社とケアウィルとのパートナーシップについて経営会議に通して肝煎りで進めさせてもらいました。 ケア衣料ブランドcarewill(ケアウィル)®︎「ケア」に関わる法人とのパートナーリングを開始 株式会社ケアウィルのプレスリリース(2021年6月30日 13時00分)ケア衣料ブランドcarewill(ケアウィル)(Rprtimes.jp この会議に通したときに反対意見が多少出るだろうと予想していたのですが、逆にとんとん拍子に進みました。現場のトップが口々に「おもしろい」「これいいね」と言っているのを聞き、carewillのケア衣料はいいアイデアなんだな、と改めて認識しました。会社としてもバックアップして、笈沼さん、そしてcarewillと一緒にやっていきたいと思ったのが今回のプロジェクト参画背景です。 実は自己紹介でお見せしたかったので、弊社のPVを準備してきたのでご覧いただいていいですか?このPVはスタッフと話しながら作りました。スタッフが作りたい、伝えたいような内容になっています。 ーー佐々木さんが法人パートナーとしてcarewillに参画いただいた背景とは 佐々木さん:先日の取材でもお話した部分ではありますが、衣食住のうち、食と住は当社のサービスで皆さんに提供することができます。衣料については手をつけていませんでしたし、これからも当社ではやりません。笈沼さんのビジネスプランを聞いていて興味がありましたし、利用者の方にとってメリットになることですので、パートナーシップのお話があったときもすんなりと受け入れられました。 ーー株式会社Keeperで進めていらっしゃる、介護×テクノロジーのお話も伺いたいです。 佐々木さん:進めているのは介護クラウドという製品です。以前は介護タクシーのサービスを検討していましたが、時代背景的に実現はまだ早い、マネタイズが難しいということがわかってきたので、今は介護クラウドにシフトして準備を進めています。 株式会社Keeper 「介護クラウド」なら株式会社Keeper 介護とテクノロジーでスマートな社会の実現を目指すイノベーションカンパニー。 www.keeper-inc.com 具体的には、介護現場の契約について、利用者の方とそのご家族、現場のスタッフ、皆さんの負担を軽減するサービスです。入所する際の手続きと説明には、ものすごい日数がかかりますし、病院、薬局、介護施設など、一事業所ごとに契約しなければならないため、利用者の方はストレスを感じておられます。その点をどうにかできないかと考えたのがきっかけです。また、利用者の方のご家族にアンケートを取ったところ、契約のやりとりの期間が長いという回答が多く、やはりなんとかする必要があると考えました。あわせて、入居手続きの施設側担当者にもアンケートを取ってみたところ、契約のプロセスがとても煩雑という回答がありました。このシステムを使用しますと、平均で7時間程度削減することができますが、いかがですか?と伝えると、ぜひ導入したいという声が多かったので開発に挑戦しています。 契約のプロセスは、だいたい皆さんが施設への電話問い合わせを実施されます。入居申し込みに際して施設側も事前調査や入居判定会議、入居調整、連絡調整などの色々なプロセスがあります。その部分をなくしたり、簡素化することを目指しています。オンラインでの入居申し込みや、担当者会議のオンラインで実施できるようにしたり、、契約書を一元管理するのがサービスの大きな特徴です。利用者・ご家族の方に、書類をご確認いただくプロセスがありますが、それをオンラインで実施し、クラウドサインのように、チェックが完了したらスタンプを押して保存していただくと、契約手続ができるようになります。マネタイズについては、5000円程度のサブスクリプションサービスで実施予定です。開発現場サイドからは、もっと単価をあげていきましょうという話もありますが、僕は多くの施設に利用していただいて、現場の負担を減らしたいと考えていますので、あまり単価はあげないつもりで考えています。介護市場も伸びているし、リーガルテックも市場が伸びていっていますよね。UIなど、お見せできるタイミングがきたらご披露したいと思っています。 研究開発担当 坪田:私もデュー説して契約をとっていた人間なので、手続きの煩雑さや時間がかかることはよくわかりますし、自分がやらなくなったときの社員教育や研修の大変さもあったので共感します。 佐々木さん:介護施設だけでなく、病院でも、入院の手続きが大変とおっしゃっているのを聞いたことがあります。 坪田:介護ほど、保健所の管轄で色々と指示をされたりすることはないので、入院の手続きのほうが自由度は高いのですが、とはいえ面倒ですよね。治験が入ってくるともっと複雑ですよね。デンタル関係も入られようとされているのですよね!リーガルテックをピンポイントで狙われていてすごいと思いました。エンジェルラウンドで僕自身がKeeperさんに投資したいくらい興味があります。 ーー法人パートナーとして実際にパートナーリングを進めていただいてみて、いかがでしょうか。 佐々木さん:実際に動かしているのは施設長の櫻田です。対象者を選定する際の条件が厳しめだったということは聞いています。何名かヒアリングを進行しているとは聞いていますが、まだフィードバックはもらっていないですね。 carewill代表 笈沼:当初、上半身の服の不自由を解消する製品のヒアリングにご協力いただいていました。ただ、この製品は、着用対象の傷病は限られています。その意味では、対象者選定の条件が狭く感じられたのかもしれません。 そこで、方針を変更し、現在は、別のタイプのケア衣料ヒアリングにご協力をいただいています。こちらの着用対象には広がりがありますし、carewillが現在進めている研究調査にも近いです。改めて対象者を選定いただき、櫻田様のお手元にサンプルを届け、既に数名ヒアリングのスケジューリングをいただいています。本当に助かっています。また、櫻田さんのご家族にもご関心をお持ちいただいています。 佐々木さん:櫻田から、お姉さんがまさにこういった服を探していたので、施設利用者者ではないけれどもいいですか?という相談が私のところにもありました。きっと笈沼さん喜ぶと思うよ、ということで背中を押しました。 すごいご縁ですよね。僕がもしこのパートナーリングの担当を違う人にしていたら、このご縁はつながらなかったわけです。実は、当初4人候補者がいまして、その中で最初に打診したのが櫻田です。彼は声をかけてすぐにOKだったので、このパートナーリングの担当になりました。 carewillメンバー一同:そうだったんですか!すごいご縁ですね。佐々木さんを中心につながるご縁、笈沼の周りでつながっていくご縁、いろいろありますね。 ーー今後のcarewillに期待するところをお聞かせください。 佐々木さん:当社にできない「衣料」の部分を担っていっていただきたいですね。実は当社の施設は一般的な介護施設とは異なります。介護っぽくない、施設っぽくないんです。 利用者の方の尊厳を意識しています。認知症だからおしゃれは必要ないわけではないですし、施設に入っていてもおしゃれを楽しみたい方はいっぱいいらっしゃいます。carewiiにはその、おしゃれを楽しみたいという気持ちに寄り添いながら、機能を兼ね備えた服づくりを期待しています。衣料はセンスがいい人しか作れないですからね。 笈沼:入院されている方や、ご自宅と病院や施設を行き来されていらっしゃる方は新しい服に触れる機会がないというお話を聞いたことがあります。以前に岩手を訪問した際、佐々木さんが紹介下さった病院で話を伺った際、売店の片隅の洋品コーナーで月に20着ほどは売れるという話を聞いて、服を選ぶ機会の少なさ、服の選択肢の少なさを感じたところです。 ーー佐々木さんが仲間や利用者の方に対して大切にされていらっしゃることや思いを聞かせてください。 佐々木さん:当社は「シームレスな共生社会へ」というビジョンを掲げています。シームレスは、隔たりがないということです。以前からずっと、介護、障がいのある方、子ども、地域住民の方々が隔たりなく交わることのできる社会を目指しています。その中で当社の事業は、障がい者の方、介護やリハビリが必要な方、地域住民の方との交わり方を考えて事業をやっています。子どもの部分は後輩が施設の隣で学童をやってくれているのでそこは任せています。 一番は利用者の方にとってのサービスですが、介護、医療もそうですが、職員がいてこそのサービスです。利用者の方、職員・スタッフはどちらも欠かせない存在ですのでとても大切に考えており、働きやすい環境を重要視しています。 実を言うと、お恥ずかしいお話ですが、2016年の離職率が28%まで上がりました。全産業の平均が15%、介護もそれくらいなので、飛び抜けて高いですよね。当時、事業展開も進めていたので、色々やめていく方も多かったのですが、なぜやめていくのかな、介護はすごく大変だからなのだろうな、と想像していました。 さすがに離職率28%になると施設の運営にも関わってきますので、残ってくれている職員の方々に何が大変なのか、話を聞いてみました。すると、ある介護士の方から伝えられたのが、介護は大変ではない、事務作業が大変だということでした。 お恥ずかしながら、僕は、3Kといわれるように、介護が大変なのだと思っていましたら全然違っていたんですね。ケアする側は、志を持っているのでそこは大変じゃないと。その後の事務作業がめちゃくちゃ大変なんですと言われて、これなら僕がなんとかできるかもしれないと思いました。 そこから、介護現場の紙ベースでの情報共有をテクノロジーで一元管理する、情報共有をするためにシステムを全部入れ替えることをやりました。期間は3年ほどかかりました。テクノロジーを導入した結果、離職率がどんどん下がりまして、2020年は8%にまで下がり、現在は10%ほどですね。介護士の業務改善をすることを、経営者である僕がやらないといけないんだな、介護現場の方々の負担を減らし、より、介護に集中してもらえる環境を整えることに注力しています。そのためにも、都内で介護アプリを作っているんですね。 ーー多くの事業をされていて、岩手と東京をまたにかけて事業をされていらっしゃる。そのバイタリティの源は何ですか。 佐々木さん:当社のビジョンのお話は先ほどしました。株式会社Keeperでも介護で困っているひとたちを幸せにしたいと言っています。そういったことの根底にあるものは5年前に他界した母の言葉ですね。彼女は「困っているひとを、助けなさい」とずっと言っていました。そこがずっと残っていると思います。 事業展開していますね、といろんな方に言われるのですが、求められれば作ります、という姿勢です。最初が接骨院、そこからデイサービス作ってほしいと言われて作り運営しているうちに泊まるところが欲しいと言われ、有料老人ホームを作りました。するとその有料老人ホームが満床になり、もっと入りたい方がいらっしゃるからどうにかしてほしいと言われまして、どんどん事業拡大していったんです。ですので、自分で狙ってやっているつもりはなかったですね。最近は狙って作ろうとしている部分もありますけどね。 ーー現場の業務改善について、システムを入れたり、シームレスにつないだり、業務改善を行おうとすると一定の抵抗勢力が存在するかと。御社ではどう対応されていましたか。 佐々木さん:現在、施設の記録は、現場にあるiPadを職員さんたちが使って入力・管理しています。下は20代前半から上は70代まで職員・スタッフがいるんですね。70代の方はiPadを今使ってくれていますが、年配の皆様からは、当初猛烈な反対がありました。 もう手書き・紙ではやらない、iPadしか記録はやらない、と決めたので、使ってくれるようになりましたが、3年間はかかりました。とにかく触っていただく環境をつくることですね。少しずつ変えていくしかないですよね。誰かが旗振り役にならないと進みませんので。 ーーcarewillに対して佐々木さんからみた、リスクや乗り越えないといけないハードルを教えてください。 佐々木さん:僕も株式会社Keeperを2019年に立ち上げてスタートアップでやっている中でいろんな谷は迎えました。きっと笈沼さんや皆さんもご経験もあるかと思いますが、仲間ともめること、抜ける人が出てくるところ、資金面など色々でてきますよね。そのあたりはチームで乗り越えていってほしいなと思います。 僕たちもこれから訪れるであろう苦労が今後もあるでしょうから、ぜひ引き続きお話させていただきながら頑張りたいです。プロダクトでいうと、今この段階でいうことは酷かもしれないですが、対象者を絞るのは最初だから仕方ないことではありますが、将来的にはもう少し幅広い対象者向けのプロダクトがあるといいな、というのが僕の希望です。 ーー佐々木さんのビジネスは、対局にある2つを使っていると思います。テクノロジーで効率性を追求する部分と、地域・人間同士のつながりでの付加価値ですね。ここの共存についてどう意識されていらっしゃいますか。 佐々木さん:10年後、20年後は確実に働く人が少なくなるので介護施設にもテクノロジーの力が必要になります。そこを狙っています。テクノロジーと人の共存、人と人との関わりの部分は人でないといけないけれども、雑務は全部テクノロジーでいいと思います。確実に介護・医療の世界で出てくるので、自分たちで作り上げていきたいですね。現在の50−60代の方が高齢者になる頃に変わってくると思いますので、あと20年後くらいですね。 佐々木さんがテクノロジーを介護現場にどんどん入れていかれることで、介護の現場や利用者の方の現在・未来がどんどん変わっていくことを想像するとわくわくします。引き続き、法人パートナーとしてcarewillとの協働をよろしくお願いします。また笈沼が岩手に突撃することもあるかもしれませんね。そのときもぜひ、よろしくお願いします。
ケア衣料carewill パートナーセッション ゲスト 株式会社航和/株式会社Keeper 代表取締役 佐々木航様

介護現場に彩りを。毎日の装いに変化を。TOKYO STARTUP GATEWAY2019挑戦時から応援してくださっている介護施設長・渡邊さんのcarewillに寄せる期待とは

TOKYO STARTUP GATEWAY2019(TSG2019)にcarewill代表の笈沼が挑戦している頃から応援してくださっている渡邊さん。介護ケア業界にお勤めで、現場目線でのフィードバックがとても的確です。そんな渡邊さんのcarewillに対する気づきや期待についてお話を伺いました。 渡邊珠代氏 介護付有料老人ホームに勤務。自身の祖母の入院を通し、関わりが人の症状の進行を遅らせるのではないか、という課題感を持ち、福祉業界へ。施設に入居していても選択肢をなるべく減らさず、楽しく過ごしてもらうことをモットーに介護・介助を行っている。carewillとの出会いは2年前、TSG2019に挑戦する笈沼の同級生の紹介から。以降、多くのサンプルに対するフィードバックや笈沼との意見交換にご協力いただいている。 carewillの想いや代表 笈沼の原体験に共感 ーー最初に笈沼さんと会ったのは2年前、TSG2019の選考が進行していた時期ですね。当時、ケア衣料についての笈沼の思いを聞かれて、どんな感想を持たれましたか。 渡邊さん:笈沼さんのお父さんの介護の経験を話を聞いて、私もまさしく同じ思いで、共感しました。最初はお食事用介助エプロンの話をしていまして、私たちも介護職員として、エプロンをすることで、ご本人も「ここまできてしまったか」というショックを感じていらっしゃる様子を介助中に感じることがあります。私自身の家族に対する介護の経験、介護の現場での仕事での経験、双方の背景、立場からも笈沼さんに共感をしました。 ーー渡邊さんはどうして介護の仕事に携わろうと思われたのですか。 渡邊さん:20代前半の頃に、自分の祖母が認知症になりました。当時は自宅での介護が難しく、病院に入院して笈沼さんの原体験に出てくるような「つなぎの服」を着せられていました。いわゆる身体拘束ですね。 入院後、どんどん症状が進行してしまって、祖母のことが大好きだったので、もっと違う関わりを持てば、認知症の進行を遅くすることができるのではないか、どうしたらいいのかしら、ということをずっと考えていましたし、当時本をたくさん読みました。そんな悲しい原体験がスタートです。自分の身内や友人知人に、自分の仕事を通じた経験や知見でお役に立てるところがでてくるといいなと思い福祉の現場を選びました。 また、もともと人を楽しませたり、驚かせるのがすごく好きな性格なのですね。この性格が人の役に立てるんじゃないかな、という思いもありました。ご本人も、ご家族の方もサポートさせていただくのが介護現場の職員の仕事だと考えて、日頃の業務に取り組んでいます。 ーー渡邊さんは今は施設長としてお勤めでいらっしゃいます。施設には多くのスタッフの方、入居されている方、そのご家族など、多数の方とコミュニケーションを取り、チームでお仕事をされておられます。チームみんながHAPPYでいられるために心がけていることはありますか。 渡邊さん:どこに施設に異動しても言っていますが、とにかく入居者の方に楽しく過ごしていただくことを大切にしてほしいと思っています。職員も楽しく過ごしてもらえれば、人間関係をうまくいくと信じています。「とにかく楽しく!」がモットーです。 入居者の方の生活に彩りを、渡邊さんのこだわり ーーこれまでのお仕事の中で、ケア衣料について考えたこと、いわゆるケア衣料を使用しながら「もっとこうなればいいな」と感じたことなどがありましたでしょうか。 渡邊さん:更衣介助の中で、着せにくいもの、素材や伸縮性など要因は様々ですが、介助の際にすごく神経を使っていました。一般に販売されているお召し物を入居者の方はお持ちになられますが、介護側としてはそれによる苦労が多かったりします。麻痺をお持ちの方の更衣介助の際に、お持ちいただいた際にはジャストサイズだったものでも、時間が経つにつれ、洗濯乾燥で縮んでしまい、どう着せて差し上げるか苦労することがあります。 それに対し、先日見せていただいたcarewillのサンプルは、ゆったりしていて、伸縮性のある素材なのでいいなと思いました。伸びる素材が介護現場の方にとっては介助しやすいですね。また、こちらが着せやすい、ご本人に負担の少ないお洋服を選んでしまうと、着られる服が限られてきてしまい、気の毒だなと思うことも多々ありました。ご家族の方に、お召し物のリクエストは随時お伝えしますので、また新しいものを購入してきてくださいます。 しかし、もともとおしゃれなご本人が、施設にも色々なお召し物をお持ちいただく中で、ずっと同じものを着ていただかないといけないのは、介護する側にも「もう少しどうにかできないかな」という気持ちになるのです。 ですので、私が担当させていただく方は、小物を使って毎日何かしらのアクセントや変化を出すようにしていました。例えば、女性の方はスカーフをお持ちになっていれば、今日はキャビンアテンダント風、と首に巻かせていただいたり、頭に巻いてヘッドアクセとして使ったりします。 ーーご本人はとても嬉しいですね!同じように小物使いで入居者の方のおしゃれに工夫をされている職員の方は、他にもいらっしゃいましたか。 渡邊さん:お召し物を通して、先ほどのように小物でアクセントや変化をつけて差し上げると、ご本人にも笑顔がみえるんですよね。夜勤明けの起床介助の際に、今日はこれを着ましょうね、とお声がけをします。私は着せやすい服に限定せずになるべく色々な服をお召しいただいていましたが、それにプラスして「今日はこの小物を使ってこんなファッションにしましょう!」とご提案して介助していました。そこまでやっているのは私だけでした。 ただ、同じ思いをお持ちの職員の方はいらっしゃるので、今日はこんな小物を使ってみましたよ、という事例の共有や、マネジメント側になってからは、職員に対してなるべく毎日違うお召し物を着させてあげてくださいね、と指示を出していましたので、職員の中には対応してくれる方もいます。 ーー小物使いはおしゃれ上級者が楽しむイメージです。ご本人もおしゃれを楽しめて嬉しい、渡邊さんみたいに楽しんで選んでくださる方がそばにいてくださることって素敵ですね。 渡邊さん:入居者の方は、意外と首元が冷えやすいんですよね。特に夏場は冷房が室内で効いています。じっと座ったりされていると冷えてくるので、肩の周りは冷やさないほうがいいので首元を巻いて差し上げました。 私自身も結構楽しんでやっています。介護職員の方は業務も多いですし、時間も限られていますので、遊び心やこうして差し上げたいと考える部分が後回しになり、飛んでしまいがちです。ですので、私たち施設管理者は、職員の方々に、そういう部分にも気づいて、自分も楽しみながら入居者の方のためにプラスαの遊び心や、日々の変化を取り入れていただくような仕組み、マネジメントを行っています。 今、勤務先で進めているのが「入居者の方の願いを叶えるプロジェクト」です。例えばマニキュアを塗って装う楽しみを味わっていただくなど、ご本人が「何をやりたいか」をお伺いして、施設内でできる企画をします。「旅行に行きたい」方にはオンラインの画像、ストリートビューを使ってまるでその場所にいる気分を味わっていただいたり、「おいしいものを食べたい」とおっしゃる方には、ネットでお取り寄せをしてみましょうか、というご提案をしたりなどですね。スタッフに楽しんでお仕事をしてもらえるように、入居者の方にも楽しんでワクワクしていただけるようにサポートしながら企画を考えています。 ーー施設長自ら企画をされるのですね。びっくりです。 渡邊さん:もともと、サプライズやワクワクする企画を考えるのが大好きなんです。以前いた施設でも、デイサービスでは色々なことを提案してやっていました。例えば「変身」シリーズで、ヘアカットとともに、私の手持ちのアクセサリーを全て持ち寄り、施設内で写真撮影をしていました。 女優ライトも買いたかったんです、ライトをあててメイクができると気分が上がりますからね。でも、予算の都合で女優ライトの手配はできませんでした。今ならオンライン会議用にライトを購入して、撮影のときにも使えるかもしれないですね。 ーーとにかく人と接し、人の心を読み取り、寄り添うお仕事ぶりですね。渡邊さんを指名して施設に入られる方もいらっしゃるのではないでしょうか。福祉業界には指名して入居してこられる方は多いのでしょうか。 渡邊さん:特にデイサービス、通所介護では、ファンが増えると利用者の方が増えると言われています。知人から介護についてのご相談を受けることもありましたし、私がいるからと施設を選んで入居してくださった方も過去にありました。実は娘も、道を歩いていると高齢者によく話しかけられるそうなのです。話しやすい、会いたいと思われる何かがあるのかもしれませんね。 身体の変化によって、着られる服の選択肢が減るストレスへの原体験 ーー高齢者の方も、この人と話したい、会いたいと思えば外に出かけたくなりますものね。ところで、渡邊さんご自身がこれまでにお怪我などで服の不自由を感じたことはありますか。 渡邊さん:ヨガによく行きますが運動が好きなのですね。過去にエアロビクスの大会に出場中に、右足の肉離れをしたことがあります。ブチッと音がして肉離れしたのに、最後まで踊りきりました。でも、その後は歩けなくなって帰り道がとても大変でした。途中までは同じチームの方の車に乗せてもらい、そこからはタクシーで帰宅したら家族に笑われました。休日だったのでアイシングして過ごし、翌日、患部をみてもらって、サポーターで固定していましたが、足がつけないのでとても大変でした。職場でも笑われましたね。ひどい割には、症状がひくのも早くて、肉離れ後1ヶ月以内にはスポーツジムやヨガには復帰していました。 肉離れ当初はがちがちにテーピングをしていて、落ち着いてきたところでサポーターに切り替えました。毎日整骨院に通い、電気を流し、テーピングをしてもらいながら、仕事もちゃんとやっていました。職場に車通勤をしていたので、ヒールのない靴を履いて通い、左足でなんとか歩く日々。施設利用者の方からとても心配されたり、笑われたりしましたね。当時は足が腫れてしまっていたので、ゆったりめのパンツしか履けなかったですね。新たに買い足したものはなかったですが、服の選択肢が少なくなったことにストレスを感じていました。 ーー以降はお怪我もなく運動を楽しみ、お仕事に邁進されていらっしゃるのですね。 渡邊さん:実は、肉離れの後に右足を捻挫したことがあります。仕事の電話を受けながら階段を歩いていたら落ちました。回復までに1ヶ月ほどかかり、そのときも整骨院に通いました。通常、足首を捻挫すると固まってきてしまいます。私は回復後にまたヨガを再開して患部も動かしていたので、今では怪我をする前と同じくらい可動域があります。このときも、サポーターを巻いていたので、細身のパンツなどは履けず、服の選択肢が減ってストレスを感じることはありました。着脱行為に苦痛は感じなかったですね。少しでも怪我をすると本当に不自由なのだな、この部分はこんなときにも使っているのだな、と怪我をして初めて気がつきます。やはり健康一番ですね。 同じ「ケア」に異なる方向から関わるcarewillから受ける刺激と寄せる期待 ーーこれまで2年間、carewill、そして笈沼さんのことをずっと応援してくださっている渡邊さんがなぜずっと応援してくださっているのか、背景にある想いなどをお聞かせいただけませんでしょうか。 渡邊さん:笈沼さんの想いやアイデアに共感ができること、笈沼さんの人柄ですね。笈沼さんはとても真面目で、きちんとされています。TSG2019のファイナルを見に行ったとき、私自身すごく刺激を受けました。介護に関わる仕事、ある意味同じフィールドですが、異業種の笈沼さんのお話を聞いていてすごく面白かったんですよね。私たちは介護の現場で生きていますが、同じ「ケア」でも違うアプローチを取っているcarewillの話を聞くのは刺激になり、ワクワクします。 TSG2019のときに見せていただいた入院着は、病衣なのに、おしゃれだな、普段でも着られそうだな、という印象がありました。笈沼さんのお母様が作られたケープも、普段でも使えそうだなと思いました。それぞれのサンプルに対して、介助する立場から、この紐はもっと短くしたほうがいいな、等のフィードバックをさせていただきました。 ーーずっと応援していただいていますが、逆に、carewillが渡邊さんのお勤め先や、入居者の方やそのご家族のお役にたてることはどんなことがありますでしょうか。 渡邊さん:先日届いたサンプル(カスタムオーダーシステムの開発中の製品)を見て、施設の職員が大絶賛していました。できれば上衣だけでなく、下衣もほしいね、と話していました。介護の現場で働く職員は、入居者の方にもっと色々なお召し物を楽しんでいただきたいという気持ちはあります。一方で、バルーンや点滴などのつながっている管はなかなかお召し物の中を通すのが難しいですよね。管を通す向きや角度によっては、身体に影響が出てしまうこともあります。ズボンだとしても、バルーンやカテーテルを装着していても着脱が楽なものが必要ですし、スカートもあったらいいという意見も出ました。 現在はパジャマのような病衣しかないですから、その選択肢の中でなんとかするか、浴衣のように巻くものをベッドでお召しになられている場合も多いです。そうなると、今度は入居者の方が施設ないでお食事に行かれる際に「部屋を出たい」という気持ちにはつながりにくいです。介助する際にお互いが円滑に、負担が少なくお召しいただけて、ワクワクする服の選択肢が本当に少ないです。ですので、carewillが作れる、可能性を広げられる製品はもっと多いと思います。介助する側は着せやすく、ご本人は選べる自由がもっと広がるラインナップが広がることに期待をしています。carewillは見た目がパジャマじゃなく、おしゃれなのもいいですよね! ーーすぐには叶えられないかもしれませんがぜひ、引き続きcarewillへのリクエストやインプットを現場視点でいただけると嬉しいです。また、ここまでいただいたご意見は、介護現場の職員の方のフィードバックでしたが、おそらく在宅介護でご家族をみておられる方も気付かれている可能性がありますよね。さらに、施設にご家族を預けておられるご家族の方にも、ケア衣料の価値についてもっと知っていただく機会があるといいなとcarewillは考えています。 渡邊さん:コロナウィルスのワクチン接種が拡大すると、おそらく少し先の時期に施設内でのご家族の面会が増えてくるでしょうね。その際に、お手に取れるケア衣料のサンプルやカタログがあると、より価値をご理解いただけると思います。 ーー最後に、これからのcarewillへの期待を一言お願いします。 渡邊さん:お身体の状態に変化があっても、楽しんで服を選べる、ご自身で着脱ができる、ご自身が持っていらっしゃる能力を最後まで使って日々暮らせるとよいと思います。そのサポートをcarewillができるのではないかと期待しています。 何歳になっても、どんな身体の変化があっても、服の選択肢が多い、自分で着脱できる、おしゃれを楽しめる。そんな機能とファッション性を兼ね備えたケア衣料のラインナップが増えていくことで、介護現場の職員の方の「Will」にも寄り添っていけるよう、引き続きcarewillは前に進んでいきます。渡邊さん、ありがとうございました。
介護現場に彩りを。毎日の装いに変化を。TOKYO STARTUP GATEWAY2019挑戦時から応援してくださっている介護施設長・渡邊さんのcarewillに寄せる期待とは

「多様性」を大切にしてこられた着用モニターの寺田雅美さんが考えるcarewillの本質的な価値や将来への期待とは

SNSでシェアされた情報を見てcarewillについて知っていただいた寺田雅美さんは、過去のご自身の服の不自由の経験からの気づきなどを着用ヒアリングで提供してくだっています。そんな寺田さんは、島根県隠岐諸島にある海士町(あまちょう)と東京の二箇所を拠点に仕事と生活をされています。 寺田さんに、ご自身の服の不自由のご経験やcarewillについての気づきや思い、そしてご自身の価値観や隠岐・海士町と東京の二拠点生活について詳しくお話しを伺いました。今回は第二回、過去に起業支援をされていたこともある寺田さんからご覧になられたcarewillについてのお話しです。 前回はご自身の服の不自由のご経験や気づきについて伺いました。 そちらもぜひお読みください。 寺田雅美氏 海士町×東京の2拠点暮らし。隠岐ユネスコ世界ジオパークにおける「海士町ジオ魅力化コーディネーター」として、ホテル×ジオパーク拠点複合施設「Entô」の設立・運営、「後鳥羽院顕彰事業」文化事業等に携わる。ほか、科学者×社会起業家らの共創による社会実装へむけた場の設計などの科学コミュニケーション活動や起業支援など。 キーワード:サイエンス×アート、「センス・オブ・ワンダー」(レイチェル カーソン)、大自然や私たちの暮らしにひそむ様々な「まなざし」 Entô(エントウ) |隠岐ユネスコ世界ジオパーク 泊まれる拠点 島根半島から北へ約80km。隠岐諸島海士町、隠岐ユネスコ世界ジオパークの泊まれる拠点施設Entô(エントウ)の公式サイトで ento-oki.jp 寺田さんの価値観や行動の全ての根底にある「多様性」への想い ーーこれまでの多岐にわたるキャリアの中に共通している、寺田さんが大切にされていること、価値観を教えてください。 寺田さん:大切にしているのは「多様性」です。 ーーもともと生き物を研究されていらっしゃったので「多様性」ですか? 寺田さん:よくご存知ですね。「多様性」への関心の個人的な原点は、96歳まで介護していた祖母が日系アメリカ人で、アメリカ生まれ・育ち、祖父との縁で日本へ越してきました。来日以降に私が生まれ、東京の実家で私は彼女とずっと一緒に暮らしていました。実は彼女は私が生まれた年に後天的な事情で耳が聞こえなくなった人でもあり、そんな分かりやすい「違い」が、当たり前に身近にある環境で育ち、「多様性」への想像力をはぐくんだと感じています。 たとえば、今こうして取材を通て話している私たちも、お互いに実は「異文化」なわけですが、同じ日本人、言語もたやすく通じてしまうだけに、暗黙のうちに「わかりあえる」と思い込んでしまっている面があろうかと思います。私にとっては、祖母がわかりやすい「異文化」として身近に存在していたことから、目の前の人が持っているバックグラウンド(背景)をいつも想像したり、聞いてみることを大事にしています。 また、自分と相手の他にも、世界中にはどんなバックグラウンドが存在しているのか、という思考を自然にしています。そうした原体験も手伝って、学生の頃「進化発生生物学」を研究していました。ちょうど大学に入るタイミングが、DNAの情報を読み取れるようになった時期で、「生き物の発生過程を、生き物同士の見た目の比較だけではなくゲノム情報での比較によって、さまざまな生きものの進化、つながりについて研究していました。この学問がとても面白くて、研究者になることも考えましたが、自分の特性として先ほどお話ししたとおり、「じゃぁ他には?」と広げていくタイプなので、研究者ではなく世界の「まなざし」を伝える仕事をすることにしました。 まず、屋外のフィールドを選び、八ヶ岳でネイチャーガイドの仕事、その後は科学技術館や科学未来館で科学コミュニケーターをしていました。その後、企業や行政の方が立場や組織を超えて対話していくことで未来の新しいことを見つけていくコンサルの手法としてフューチャーセッションを提供する企業で社会人インターンとしてお世話になりました。以降、再び自然の現場に関わる一方で、起業支援の仕事をしながら、ライフステージの変化(結婚)に伴い島根県の隠岐(海士町)に2年前に来て、現在に至ります。企業の皆様とのフューチャーセッション、屋外の国立公園・国定公園や室内のミュージアム「場づくり」がこれまでの仕事の共通点です。多様な価値観や世界の中にある「まなざし」が出会う、交差する場づくりが好きなことで、これまで仕事として関わってきたことの軸だと考えています。 起業支援施設Startup Hub Tokyoでプランナーとして仕事をしていたのも、背景には自分自身が起業し、個人事業主として仕事をしたいと考えていたことがあります。いろいろな事業をされている方々と出会い、起業したいと考えている方に起業家の方を紹介する場を作る仕事をしていました。自分にとっての「当たり前」は周りの人にとっての「当たり前」ではない、その視点に立つと世の中は「知らないこと」だらけですので、それをなるべくたくさん知りたいし、せっかくなので掛け算が起きて、みんなにとってワクワクする挑戦ができるといいなと考えています。科学も私にとっては「世界のまなざし」だという認識です。ちなみにこの「みんな」には私自身のことももちろん含みます。 チームで成果を出すために大切にしていること ーー現在フリーランスとしてお仕事されていらっしゃいます。多くの企業、個人の方とチームを組んで仕事をする、成果を出すために大切にされていることは何ですか。 寺田さん:自問自答の日々ですが、一つ言えるとすると「タイミングを逃さない」ことです。それぞれのステークホルダーがいて、しなければならないタスクが色々とみんなの真ん中にあるときに、そのタスクが、立場やコミットメントの違いから見えている、見えていないってありますよね。それは大前提です、違いがないことはありえない。そのため、タイミングを逃さないことを大切にしています。できる時と、できない時がありますが。 ーー今のお話しも「多様性」に起点があるのかなと。寺田さんは相手から見えているものは異なるということを理解した上でコミュニケーションをされていることが印象的です。 寺田さん:確かに。多様性からきていますね。ステークホルダーが多いとなおのことそうですよね。 寺田さんからみたcarewillの印象とは ーー前職で起業家を支援し、伴走されていらした寺田さんからご覧になられて、carewill、起業家としての笈沼さんについてどんな印象でしょうか。 寺田さん:笈沼さんはもともとJINSに在籍され、マーケットを読むプロフェッショナルでいらっしゃったとのこと。そこから、扱われるものはメガネからケア衣料へと変われど、機能面はもちろん追及しながらもそこに寄せすぎないで、暮らしにおける愉しみとのバランスをよく組み込まれた製品開発や事業展開をされていくのだろうな、色々な方のニーズに応える、新しい世界に誘ってくれるブランドを作っていかれるのだろうなとワクワク想像しています。 誰しも、人生のどのフェーズで何かの病気の当事者になるかもしれませんし、服の不自由を経験することになるかもしれません。もし自分はそうならないと思っていても、誰もがなる可能性があると思うのです。「care」の本質的な意味には、実際そのタイミングで何か病を患っているかどうかに限らずに、人生におけるひとりひとりの「will」に伴走したいという想いが根底にあることを感じています。だからこそ、ユーザー一人一人がその想いののった服を着て街を歩くだけで、「生きる」ことを応援し合えるアイコン、メディアにも衣服がなれるような、そんな製品が作られていくのだろうなと期待しています。 ーーこれまでのcarewillとのやりとりで、どんな気づきや感想がありましたか。 寺田さん:まず、社名が素敵だと思いました。知り合いではない方々の取り組みに「出会う」ことができてありがたいと思っています。みなさんの本気の部分が伝わってきて、リスペクトしています。タイミングやご縁ってあるのだなぁとも思いました。おそらく、創業された当時は「原体験」からのスタートでいらして、現在は具体的な事業化に向けて試行錯誤して走りながら取り組んでいらっしゃるフェーズなのだな、とその勢いと可能性にワクワクしています。 自分が肩をいため、まさに治療中というタイミングで、投稿を通じて長嶋さんを知り、carewillのこと、みなさんのことを知る中で、治療期間に着る服、というよりも、治療期間をともにした相棒という存在として、本人や誰かを元気付けるのではないかと感じました。 3回目のヒアリングで送っていただいたトワルで、肩を固定するマジックテープ付きの服がありましたよね。肩を固定する部分がそれぞれのユーザーにとって必要かつ心地よい部分へアジャスト可能、自分仕様にカスタマイズできるという点で、ケア衣料側面として大事な機能であり、ユーザーにとって心強いものになると当事者として感じました。 ヒアリング時に笈沼さんにも伝えましたが、その物理的に支える部分が遊び心のある差し色にもなっているなどすれば、デザイン性としても面白いのではないかとも想像しました。ほかにも、たとえばcarewillの社名が入ったタグや、何か治療途上の人にエールを送れるようなメッセージが書いてあると、「相棒」感が生まれ着ることが励みになり、楽しそうです。 ーーもしかして、甲状腺の手術後に首を巻いて守っていたもの(第一回記事参照)もまだお手元に残っていらっしゃるのですか。 寺田さん:はい、残っています。最近は身につけていませんでしたが、またつけてみたいなと今思いました。あれは確実に自分の相棒でしたから。これからも、たとえば夏に日焼け対策としてつけたいですね。 ーー今後のcarewillに期待していることや、社会に対してcarewillが創出していける価値についてお聞かせください。 寺田さん:現在、男女ともに働く社会にもかかわらず、認識には地域によって差があるのが現実です。私の両親は60代後半、これまでならば60歳ないし65歳で退職、その後は「余生」を生きる価値観が当たり前と考えられていました。 現在では「人生100年時代」、60代からの新しいキャリア・新しい生き方、日常をという流れになっています。その「日常」を心身ともに支えてくれる服があったら嬉しいと思います。以前、運営に携わっていたアクティブシニアの皆さん向けの生涯学習講座の場でのことです。長年「企業戦士」でいらした男性の中に、スーツを着て闊歩していた40年間と比べて、散歩・同好会・生涯学習講座に参加する日常になってから「今まで着たかったけれども仕事が休みのときにしか着られなかった服を着られるようになった」、「何を着ていいかわからなくて、そんな自分そして日常生活に慣れるまでに年数が必要だった」とおっしゃられていた方もいらっしゃいました。ライフステージの変化、日常のライフシーンの変化のタイミングに寄り添うかたちで、自信を持って「着たい」と思え服が増えていくと嬉しいです。 年代や加齢による体型の変化、身体の変化によっても、着られる服は変化していきますよね。そんな小さな変化が服のストレスにならないような、さりげなく寄り添える服をcarewillが作っていけるといいな、とお話しを聞いていて思いました。ありがとうございました。最終回では、現在お住まいの島根県隠岐地方(海士町)や、二拠点生活について伺います。
「多様性」を大切にしてこられた着用モニターの寺田雅美さんが考えるcarewillの本質的な価値や将来への期待とは

着用モニター協力者の寺田雅美さんが経験された服の不自由

SNSでシェアされた情報を見てcarewillについて知っていただいた寺田雅美さんは、過去のご自身の服の不自由の経験からの気づきなどをケア衣料の着用ヒアリングで提供してくだっています。そんな寺田さんは、島根県隠岐諸島にある海士町(あまちょう)と東京の二箇所を拠点に仕事と生活をされています。 寺田さんに、ご自身の服の不自由のご経験やcarewillについての気づきや思い、そしてご自身の価値観や隠岐・海士町と東京の二拠点生活について詳しく伺いました。今回は第一回、寺田さんご自身が体験された服の不自由についてのお話です。 寺田雅美氏 海士町×東京の2拠点暮らし。隠岐ユネスコ世界ジオパークにおける「海士町ジオ魅力化コーディネーター」として、ホテル×ジオパーク拠点複合施設「Entô」の設立・運営、「後鳥羽院顕彰事業」文化事業等に携わる。ほか、科学者×社会起業家らの共創による社会実装へむけた場の設計などの科学コミュニケーション活動や起業支援など。 キーワード:サイエンス×アート、「センス・オブ・ワンダー」(レイチェル カーソン)、大自然や私たちの暮らしにひそむ様々な「まなざし」 Entô(エントウ) |隠岐ユネスコ世界ジオパーク 泊まれる拠点 島根半島から北へ約80km。隠岐諸島海士町、隠岐ユネスコ世界ジオパークの泊まれる拠点施設Entô(エントウ)の公式サイトで ento-oki.jp ーーいつも着用ヒアリングにご協力いただきありがとうございます。carewillを知っていただいたきっかけを教えてください。 寺田さん:長嶋りかこさんの投稿を私の友人が以前長嶋さんと北海道で一緒に仕事をされていたご縁で見て、carewillについて知りました。投稿されている内容を読み、「私も四十肩・鍵盤損傷!この痛みが、何か新しい事業をおこす種になるのならば!」と反応したのがきっかけです。 ーー投稿からアクションしてくださる寺田さん、シェアをしてくださるご友人も本当にありがとうございます。そのシェアをご覧になられる以前に、ケア衣料について意識されたことはありましたか。 寺田さん:実は3回あります。まずは10年前に私自身が甲状腺の全摘手術をしました。術後3ヶ月ほどは日光(紫外線)を傷口にあててはいけないと医師から話があり、首周りをカバーする必要があったものの、病院で何か具体的な製品を紹介されたわけではありませんでした。 時期が夏だったのでショールを巻こうにも隙間がどうしても生まれたりずれますし、タートルネックを着るわけにもいかないしと困っていたところ、ふと百貨店のスポーツ用品コーナーを訪れてみたんです。 ゴルフ用品の売り場で、首周りをカバーできる様々なデザインの商品が並んでいる光景に出会い、快気祝いも含めて家族とともに購入しました。このネックカバーは1つ1万円を超える商品だったのですが、伸縮性もあり、アタッチメント機能もあり、通気性もよく、使っていてとても心地よかったです。Tシャツを着用した上でその製品をつけることができましたし、さまざまなデザインもあり、心身ともに快適でした。 我が家では、まるでその様子がエリマキトカゲのようだったので、「エリマキテラ」なんて愛称をつけて呼んでいました。私の回復期の「相棒」です。 ーー首の日焼けを防いでね、と指示をされて、スポーツ用品店に行かれたのがすごいですね。 寺田さん:他には服飾雑貨店の商品で、指が通せるショールを購入したりもしましたが、使っているうちに、機能面をよりしっかりさせたい場合には、おそらくスポーツ用品がベストなのだろうな、と考えつきました。 2点目が祖母の介護の体験です。96歳まで自宅で介護をしていました。笈沼さんの原体験とも重なる部分ではありますが、祖母が自宅で過ごしている時間や、病院に入院する際、「普段着用しているパジャマを持参していい」と案内されたものの、日常の中で「装う」行為の必要性はあまりなく、実際は部屋着を着用していました。ただ、振り返れば「もっと院内における服のバリエーションがあれば、たとえ身体が物理的に移動しづらい日常生活にいるとしても、それに全く関わらず、より彩りがある生活も送れたのだろうな」と思うのです。物理的に動いたり・移動することが容易でない状況にある一人一人にとっても、衣・食・住(自宅の部屋や病室)こそ本当に大切で、さまざまな気分転換やインスピレーションを起こしてくれる要素だと感じたので、たとえばそうしたサービスや衣・食・住があることにより、結果的に社会との接点が生まれ続けられるようなものが必要で広がっていけばいいなとずっと感じていました。 例えば、当時、祖母が毎日部屋の窓から見あげていた空の景色は、実際に世界の他の土地のどんな空とつながっていて、そこに暮らしている人にはどんな日常があるのかなど、物理的な制約要件(身体や体調の都合、実際にいる場所)をこえて、さまざまな人にとっての「まなざし」が交差、共有できるようなテクノロジーの可能性にも関心が芽生えました。知人が取り組む、ドローンを用いたバーチャル観光サービスにも大変共感していました。また、先日笈沼さんが投稿されていた、介護施設に普段は入っていらっしゃるお母様へテーラーメイドのケア衣料を贈られたご家族のお話にもとても共感しました。 3点目は、以前からとても共感、応援しているケア衣料の取り組み事例として「CO-FUKU」を笈沼さんに紹介させて頂きました。起業支援の仕事をしていた際に出会い、事業を起こされたご本人とお話しさせていただいたり、ワークショップに参加する中で、本当に素敵な世界観だと思っていたためです。現在もとても注目しています。 コオフク 衣服を通したコミュニケーションデザイン(ファッション オルタナティブ デザイン)を通し「私らしく。あなたらしく。誰でもおし co-fuku.com ーー以前から、ケア衣料に多くの意識が向いていらっしゃったのですね。 寺田さん:ご縁ですね。その他にも、ミュージアムに勤めていた際のご縁で、一社)星つむぎの村さんが展開されている「病院がプラネタリウム」という活動にプロボノとして関わらせて頂いています。全国の、小児病棟などに伺い(コロナ禍ではオンラインの場づくり)、星空を分かち合う場や、宇宙の果てまで旅しに行き、ふるさとの地球にホッとかえってくるようなプログラムを展開されていてその世界観に魅せられ、志や活動をリスペクトしています。 一般社団法人 星つむぎの村 – 星を介して人と人をつなぐ場 hoshitsumugi.org ーー仕事もプロボノも、色々なご活動をされていらっしゃるのですね。 服の不自由の具体的なお話しをお聞かせください。 寺田さん:昨年の11月頃から、肩にピリピリとする痛みやしびれを感じていましたが、きっと肩が凝っているだけだと思っていました。当時は気づいていなかったのですが、おそらくすでに四十肩を発症して、症状が進行していたのでしょう。年末に、隠岐に大雪が降って、友人の子どもたちと一緒に雪の中で戯れていました。そんな中、私ひとりでコロコロと雪積もっているゆるやかな斜面を転がった際、激しい痛みが右肩に走り、一週間経つ間に「拘縮肩」ができあがりました。転がった直後の数日は、帰省移動の際に乗った飛行機内でスーツケースを上げたりする動作も無理なくできていたのですが、1週間ほど経つ間に、前にならえ、もできないくらい腕と肩がすっかり固まってしまい、髪を結ぶのにも激痛が走り難しくなってしまいました。とはいえ、なんとか、テーブルに右肘を置き首を傾けるようにして結んだりしていましたね。洗髪も、左手は動くのでシャワーをなんとか使ってやっていました。利き手の右腕がその状況なので、つい最近までは運転も怖くて控えていたほどです。 実家のある東京で2ヶ月間リハビリをし、こちらに帰ってきてからもリハビリにお世話になっています。日常生活の中で「歩く」だけでも腕が揺れ、当初は激痛が走っていたので、手持ちの肩掛けポシェットのようなものをどうにか角度調整して肘をその上に乗せて歩くなど、工夫していました。ただ、そうやって手を支えていても、時間が経てば手の向きがずっと同じなので疲れてきます。この手首をどこかにおいて休ませたい・・・と、一度下ろして、またカバンの上に乗せて腕を支えるを繰り返していた生活でした。リハビリを続けるに従って、症状や痛みは緩和されてきています。 carewillのヒアリングにこれまで3回協力しました。一番最初に送っていただいた、1着目の(昨年末のクラウドファンディングで販売した)グレーのシャツを着たときに、服に内臓されているポケットに腕を入れようとした際に腕が揺れて痛みが走りましたので、自分の症状にとって楽な着用姿勢を伝えフィードバックしました。また、冬はタートルネックをよく着ていたのですが、タートルネックであれば素材が伸びるので着脱が楽なのですが、背中で整える動作のある服は難しく、今も真上までは肩が上がらず、完全に元に戻るまでにはあと2ヶ月程度はかかるのかなと思っています。 carewillを知る以前から、ケア衣料についてご関心をお持ちだった寺田さん。ご自身の服の不自由のご経験とそれに対応できるグッズとの出会いの話が印象的でした。第二回では、carewillの着用モニターにご協力いただいた中での気づきや、ご自身の価値観とその原体験についてお話しを伺います。
着用モニター協力者の寺田雅美さんが経験された服の不自由